蒔かれた種の生長と実り----麦か毒麦かの見分け
リック・ジョイナー (渡橋 喜代佳 訳) 「プライドとへりくだりが、本物と偽物を見分けるもっとも基本的な特質の2つです。」 種と毒麦 私たちは、忠実な人々がさらに忠実になり、さらに権威をゆだねられるという、そのような時代にいます。それはまた、不忠実な人々がさらに不忠実になるという時代でもあります。この世に蒔かれた良い種と毒麦の両方が実りの時を迎えます。したがって、主がマタイ13:37~47で預言しておられるように、どれが毒麦でどれが良い種かが、ますますはっきりしてくるでしょう。この箇所で主は弟子たちに、農夫の麦畑にやって来て毒麦を蒔いた敵についてのたとえ話をされ、次のような解説をしておられます。 「イエスは答えてこう言われた。『良い種を蒔く者は人の子です。畑はこの世界のことで、良い種とは御国の子どもたち、毒麦とは悪い者の子どもたちのことです。毒麦を蒔いた敵は悪魔であり、収穫とはこの世の終わりのことです。そして、刈り手とは御使いたちのことです。 ですから、毒麦が集められて火で焼かれるように、この世の終わりにもそのようになります。人の子はその御使いたちを遣わします。彼らは、つまずきを与える者や不法を行なう者たちをみな、御国から取り集めて、火の燃える炉に投げ込みます。彼らはそこで泣いて歯ぎしりするのです。 そのとき、正しい者たちは、天の父の御国で太陽のように輝きます。耳のある者は聞きなさい。』」 麦の収穫---麦か毒麦かの見分け 主は、このことがこの世の終わり、すなわち「収穫」の時に起きると言われました。収穫とは、麦と毒麦の両方を刈り取ることです。この世の終わりには、善も悪も実りの時を迎えます。そのため、お互いがはっきりと見分けられるようになりますし、年を追うごとに両者の違いがますます明らかにされていくと考えられます。 かつて、私も麦畑のそばを車で走っていた時に、実際毒麦が麦によく似ていることを知らされたことがあります。両者が実りの時を迎えるまでは互いに区別できないと、そのようにも教わりました。実ると、麦は垂れてきますが、毒麦の方はまっすぐ伸びたままなのです。このことから、「実ると、麦はますますへりくだり、毒麦はますます高ぶるようになる」と言えるかもしれません。プライドとへりくだりこそが、本物と偽物を見分けるもっとも基本的な特質の2つなのですが、この世の終わりが近づけば近づくほど、ますますこの特質のことが言われるようになるでしょう。 実るまでは麦と毒麦を見分けるのが難しいわけですから、間違って麦を引き抜くことがないように、両者が一緒に生長するのを待つのは主の知恵だった、ということも心に留めておくべきです。実は、これが、預言的なミニストリーが起こされるなかで、ずっと私たちに立ちはだかってきた一つの問題でした。若くて未熟な預言的人々も、しばしば未熟な振る舞いをしてしまいます。すると、私たちは、彼らが「麦」ではなく実際は「毒麦」なのではないかと考えてしまうのです。主の知恵に耳を傾けず、早まって毒麦を取り除こうとする人々は、しばしば「麦」を捨てて「毒麦」の方を取っておこうとします。 多くの教会や教会のリーダーたちは預言的なものを欲しがりますが、預言的なものは、まず成熟を待たなければなりません。もちろん、短期間であれば事は簡単かもしれませんが、結局のところ、多くの損失を伴うことになるでしょう。教会や教会のリーダーが成熟した預言的ミニストリーを責任もって行なえるようになるのは、どのようにしてでしょうか。それは、「成熟のプロセス」を通ることによってであり、麦と毒麦の両方の生長からそれぞれの性質を学ぶことによってなのです。それはまた偽物を見分ける方法でもあります。 私は、成熟していない預言的な人々を、彼らにまだ問題があるという理由で、教会やミニストリーが拒絶するのを何度も見てきました。すると、たいてい同じこれらの教会やミニストリーは、多くの害をもたらすことになる偽預言者から欺かれるのです。そうなると今度は、自分たちの問題を「預言的なもの」のせいにしてしまいます。このことは、ただ預言的ミニストリーに当てはまるだけではなく、伝道者や教師、使徒、牧師にも当てはまります。今日みられる教会分裂の多くはこの理由によるものですし、今や、健全な地域教会にいるクリスチャンよりも教会生活をしていないクリスチャンの方が多いのも、この理由によるのです。 たしかに、未熟なミニストリーもまた問題を引き起こしますが、それだけの価値はあるのです。冒頭のたとえでは、主は種を蒔いている、つまり、畑に投資している農夫であり、畑はこの世界を表わしています。注意していただきたいのですが、投資の基本原則は、「安く買って、高く売る」ことです。ある人に投資する時というのは、安い時、つまり、スタートしたばかりの時なのです。同じ事がミニストリーにも当てはまります。今成熟しつつある預言的ミニストリーは、この先どのような教会やミニストリーに信頼を寄せることができるというのでしょうか。それは、自分たちがまだ成熟のプロセスをたどっていた時に、自分たちを信頼してくれて、投資してくれた教会やミニストリーなのです。 使徒パウロ-----成熟していった人物の例 私たちはまた、生長過程のどんな様相を呈している麦であっても、その麦の中に存在している毒麦には気がつくようになるべきです。どのように麦が生長していくのか、そのすばらしい例の一つを使徒パウロに見ることができます。彼は、初期の手紙の中では、自分が大使徒たちにも劣っていないと述べています(2コリント11:5参照)。その5年後には、「使徒の中では最も小さい者」(1コリント15:9参照)に変わります。さらに、この5年後、「すべての聖徒たちのうちで一番小さな私」(エペソ3:8)となっています。そして、最後の手紙の一つでは、自分のことを「その罪人のかしら」(1テモテ1:15)と宣言するまでになるのです。彼は明らかに霊的な成長をとげていき、実際、一世紀の最も偉大な使徒の一人に数えられるまでになるのですが、このように(へりくだって)自分のことをどんどん低く見ていったのでした。 若き使徒だった頃のパウロはかなり傲慢だったかもしれませんが、それでも彼が使徒だったことに変わりありませんでした!-----このことも、私たちは考慮する必要があります。パウロは、自分の肉体には彼らにとって試練となるものがあったのに、彼らが自分を天の御使いであるかのように迎えてくれたと、ガラテヤの人々をほめるような言葉さえ書いています(訳者注:ガラテヤ4:14)。 使徒や預言者、あるいは、そうしたミニストリーを理想的な形でしか認めたがらない人々は、現実に彼らが登場すると、ほぼ間違いなく、彼らがそうだとは気がつかないでしょう。 1コリント1:26~29でパウロが書いているとおりです。「兄弟たち。あなたがたの召しのことを考えてごらんなさい。この世の知者は多くはなく、権力者も多くはなく、身分の高い者も多くはありません。しかし神は、知恵ある者をはずかしめるために、この世の愚かな者を選び、強い者をはずかしめるために、この世の弱い者を選ばれたのです。また、この世の取るに足りない者や見下されている者を、神は選ばれました。すなわち、有るものをない者のようにするため、無に等しいものを選ばれたのです。これは、神の御前でだれをも誇らせないためです。」 プライド対へりくだり 「私たちが多くを任せられれば任せられるほど、プライドは私たちにとって危険なものとなります。」 主はこの世の卑しい者や弱い者、また、愚かな者さえも召して用いられます。真のミニストリーがわかってそれを受け取るのは、そのような者になるのとほとんど同じくらいのへりくだりを必要とするかもしれません。偽のミニストリーはプライドの高い者を引きつけますが、真のミニストリーは、へりくだった者や素直に教えを受ける者だけがわかるものなのです-----それが神のご計画です。 この世の終わりにおける光と闇との大きな戦いは、基本的にはプライドとへりくだりの戦いです。プライドはルシファーに堕落をもたらしたのですが、それ以来、ほとんどすべての堕落の根にあるのがプライドなのです。敵によってこの世界に蒔かれた種が完全に実ると、プライドや傲慢になります。このことは、創造主の助けがなくてもこの世界を動かすことができると考えてしまう人間の究極の傲慢さに反映されています。 同様に、キリストによってこの世界に蒔かれた種の最終的な実りとは、へりくだりです。そのへりくだりは、最も基本的には、自分自身や自分の力、自分の知恵にではなく、主ご自身や主の力、主の知恵にますますより頼むようになるという形であらわれてきます。これらの人々は、主がおられなければどんなに自分がもろく、愚かで弱いかということをますます理解して、ますます主を求めるようになっていきます。 私たちはこのことを時折思い起こす必要があります。とくに、主がご自分の民にますます資金や権威をゆだねられるようになったら、そうしなければなりません。ゆだねられればゆだねられるほど、私たちにとって、また、羊飼いや見張り人として私たちの責任下にゆだねられたのかもしれない人々にとって、プライドは危険なものとなります。主が私たちにさらに多くの資金やさらに多くの権威をゆだねられるようになると、いつも次の事を心に留めておく必要があります。すなわち、主が私たちにゆだねられるのは、私たちのすぐれた知恵や能力のゆえではなく、主を信じる私たちの信仰のゆえであり、また、自分を信じるのではなく主を信じる信仰をすべての土台にしようとする私たちのへりくだりのゆえだということです。 へりくだりのもっとも基本的な特徴のひとつは、素直に教えを受けるということです。素直に教えを受けられるのは、自分がすべてを知っているわけではないということを知っており、自分が一番賢い者ではなく知恵を必要とする者であるということを知っているからです。私は、ほとんどすべての分野でもっとも成功した人物の幾人かと知り合いになれたり、そうした人物の研究をしてきましたが、あらゆるリーダーやマネージャーの中でもっとも偉大なリーダー、マネージャーというのは、いつも、自分が語るというよりは、たえず習ったり、学んだり、人の言葉に耳を傾けているような人々なのです。そうした人々は、すべての会話から金を掘り出そうと努め、他の人々が既に習得している宝をその人から引き出そうとしているのを見ることが出来るでしょう。素直に教えを受け取る霊をもった人というのは、つねにもっとも偉大な教師になります。 主の恵みと義 いつも次の事を心に留めていましょう。 「しかし、神は、さらに豊かな恵みを与えてくださいます。ですから、こう言われています。『神は、高ぶる者を退け、へりくだる者に恵みをお授けになる。』ですから、神に従いなさい。そして、悪魔に立ち向かいなさい。そうすれば、悪魔はあなたがたから逃げ去ります。神に近づきなさい。そうすれば、神はあなたがたに近づいてくださいます。」(ヤコブ4:6~8) 「ですから、あなたがたは、神の力強い御手の下にへりくだりなさい。神が、ちょうど良い時に、あなたがたを高くしてくださるためです。あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。 身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたけるししのように、食い尽くすべきものを捜し求めながら、歩き回っています。堅く信仰に立って、この悪魔に立ち向かいなさい。ご承知のように、世にあるあなたがたの兄弟である人々は同じ苦しみを通って来たのです。 あらゆる恵みに満ちた神、すなわち、あなたがたをキリストにあってその永遠の栄光の中に招き入れてくださった神ご自身が、あなたがたをしばらくの苦しみのあとで完全にし、堅く立たせ、強くし、不動の者としてくださいます。どうか、神のご支配が世々限りなくありますように。アーメン。」(1ペテロ5:6~11) これは、私が是非とも注意をうながしたい点なのです。なぜなら、大きな祝福がもたらされようとしているからです。その祝福は、もし私たちが注意していなければ(細心の注意を払っていなければという意味ですが)、私たちが本来受けるようにと召されている祝福にはならずに、私たちにつまずきを与えることにもなりかねません。 主イエスご自身が私たちの義であられるということ、また、これから私たちに豊かさがもたらされるのは、私たちがそれほど正しいから、賢いから、強いからというのではなく、主イエスが私たちのために(義を)贖いとってくださったからなのだということを、いつも心に留めておかなければなりません。したがって、私たちは、自分たちに与えられている祝福が、常に主と主のすばらしさを指し示すものであることを求めるべきです。したがって、私たちは、自分たちに与えられている祝福によっていつも主と主のすばらしさが示されてほしいと思うのです。(終わり) トップへ戻る
by walkwithgod
| 2007-05-24 08:53
| アメリカからのメッセージ
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