何故イスラエルを気にかけるのか?
サンドラ・テプリンスキー ヘブル語の聖書を詳しく調べると、「祝福」という言葉が意味する中心的概念がわかってきます。 言うまでもないことでしょうが、現在私たちが持っている祝福という言葉の概念と、ヘブル語のもともとの意味とは劇的に異なることが明らかになりました。創世記12:3で、ヤーウェはアブラハムに「あなたを祝福するものをわたしは祝福する」と言われました。この箇所では祝福するbless にはbarekhという語が使われており、それはヘブル語の語幹であるbarakhから派生しています。驚いたことにはbarakhは「膝まづくto kneel」という意味を持つのです。 ですから誰かを「祝福する」ためには、身体の姿勢ではないとしても、私たちのこころの姿勢が問われるのです。祝福することは、その土台として、まず膝まづくことが暗示・内包されています。人の前で膝まづくことは、敬意、好意、服従、奉仕を表しています。それは人のために自分の命を投げ出す姿勢です。これは今私たちが祝福という言葉を使うときに考えることでしょうか?答えは明らかです。 しかしもう少し詳しく調べてみますと、語根であるbarakhは膝まづくという意味ですが、一方barekh(bless祝福する)という言葉は,霊的、物質的に豊かにすることを意味します。Barakhとbarekhを一緒にすると、神が私たちを祝福されるとき、神はいわば膝まづいて私たちを豊かにしてくださるのだということがわかりました。それは私たちの心を震えさせへりくだらせる驚くべき組み合わせです! まことにイエシュア(イエス)は、神に似せて造られたちりにすぎない私たちの間に住むために、栄光をすべて捨てて無となられました。主のミニストリーが頂点に達しようとする直前に、主は膝まづいて12人の弟子の汚れた足を洗われました。そして十字架にかけられ、血と汗にまみれて苦しみ死なれました。主の私たちへの「祝福」には限りがありません。 聖く偉大な父なる神が、あなたを豊かにするために膝まづいている姿を想像してください。それはあたかも愛情深い父親が、小さな子供と顔と顔を合わせて話すために膝まづいているようです。私たちの二人の娘がまだ小さかったとき、夫のケリーは彼らと顔と顔を合わせて遊んだり祈ったり、またときには叱ったりするために、床に膝まづいたものです。夫は子供たちを豊かにするために膝まづいたのです。子供たちがその時必要としていることや欲しいものを与えるために、彼らのレベルにまで身を低くしたのです。創造主なる神もそれと同じことをあなたや私のためにしてくださいます。 詩篇18:35でユダヤ人の詩人が「あなたは、自ら降り/わたしを強い者としてくださる。」(新共同訳)と高らかに謳っている通りです。 祝福のへりくだり 聖書の中では主を祝福する(Bless the Lord)という言葉が多く出てきます。しかし今日私たちが「Bless God!」と言うのは、「すばらしい!」というような軽い意味で使っているのではないでしょうか。本当に私たちは誠実に主を祝福しようとしているのでしょうか? しかし宇宙の王は、私たちを豊かにするために膝まづいてくださるのです。 「あなたを祝福するものをわたしは祝福する。」という神の約束が、どれほど恵み深いものであるかがお分かりになったでしょうか? アブラハムと彼の契約の子供たちを豊かにするために膝まづくすべての人のために、ヤーウェは膝まづいて彼らを豊かにしてくださるというのです。ユダヤ人と、私たちが彼らを祝福することを通して、神は聖霊の新しいアウトポアリングの水門を開いてくださろうとしているのです。 アブラハム、あるいはユダヤの人々の前に膝まづく、というのは、彼らを崇拝するということではありません。それはキリストのようなへりくだりの心から流れ出る敬意・好意・服従・奉仕の姿勢です。このへりくだりを私たちの中に見るとき、主は私たちを祝福したいという思いを強く持たれるのです。イスラエルに祝福を与えるために神が回復したいと思っておられるのは、まさにこの私たちのへりくだりであり、一番大切なポイントであるのにも拘らず、往々にして欠落しているものなのです。 イスラエルは祝福を失ったのか? 皆さんは質問されるでしょうか。「イスラエルは神の律法を完全に守ることができなかった。そしてイエスをメシアとして拒絶した。そのイスラエルがどうしてアブラハムの祝福を受けることができるのか?」と。これに対する神の答えは、私たちにへりくだりの思いを起こさせます。 確かに、他の国々と同じようにイスラエルは罪を犯しました。しかし、イスラエルが祝福を決して失うことはない主な理由が二つあります。第一の理由は、もし民の中に数人でも義人がいるならば、神は民全体を滅ぼさないで救うことがあることです。歴史を通して神はご自分のために忠実なるユダヤ人のレムナントを残しておかれました。新しい契約の後には、神はイェシュアをメシアとして信じ従うレムナントを生き残らせてきました。これらメシアニック・ジューのレムナントはイスラエル全体の救いを祈っています。 第二に、そしてこれが最も重要なことですが、イスラエルが罪を犯しても、神がイスラエルに約束された祝福は、取り消されるとか無効になることは絶対にないという事実です。なぜならば、祝福は契約の基本に由来するものだからです。聖書の契約は法律と同じで、条件がある場合と無条件な場合があります。もし条件つきの契約ならば、それが成就するためにはある必要条件が満たされなければなりません。もし神が条件付き契約を結ばれるならば、神がご自分の契約を果たし成就される前に、契約相手はその条件を満たさねばなりません。しかし、もしその契約が無条件であるならば、神は相手が何かをするのを待つ必要はないのです。神が無条件契約を成就されるのは、人間側の応答に関係もなく、また左右もされません。言い換えれば、人間の罪は神の無条件契約を取り消すことも無効にすることもできないのです。驚くべき恵みではありませんか! ヤーウェがアブラハムと結んだ契約、即ち祝福とのろいに関する約束ですが、それは無条件でした。契約の中で、神はご自分にだけ責任を課したのであり、アブラハムや彼の子孫には何も課しませんでした。これは創世記15:1-21に鮮明に描かれています。神はアブラハムにいろいろな動物を生贄とすることを指図し、神が火として生贄の中を通られました。この儀式はアブラハムの時代に使われていた方法で、二者間で契約を結ぶときに用いられました。動物が半分に切られ、契約を結ぶ者たちがその間を歩いたのです。けれども、もし契約を結んだ片方だけが歩くならば、その者だけが他方の者に対して何かを果たす義務が生じるのです。これによって無条件契約が成立するわけです。神がアブラハムと契約を交わされたとき、神は生贄の間を通られましたが、アブラハムは歩きませんでした。ですから、アブラハムとその子孫を通しての祝福とのろいの約束は、全く疑う余地もなく無条件なのです。ということは、祝福の約束は、教会によっても、アラブによっても、他の諸国によっても、決して失われることも剥奪されることもないのです。ドワイト・ペンテコステ博士が結論づけているように、神がアブラハムにした約束は無条件であり、ただ神の誠実さのみによって成就されるものであるということを、これ以上明確にできないほどに言明しています。 新しい契約は、神のイスラエルに対する祝福の約束が無条件であることを確認しこそすれ、帳消しにしたのでは決してありません。ヘブル人への手紙6:17では、神がアブラハムと約束をしたとき、神はご自分のご計画の不変性をさらにはっきりと示そうとされて、ご自分だけで一方的に誓われたのだと説明しています。 ルツの物語は、この無条件の契約と、「イスラエルを祝福する者は祝福される」という不変の真理に対して、現在の教会がどのように応答すれはよいかを、非常にすばらしい方法で教えてくれています。 ここ数年間、どこに行っても私は、ルツと彼女が伝えているすばらしいメッセージに聖霊によって引き寄せられているクリスチャンに出会います。ヘブル文化の見地から見ると、この物語の中の人物は、終わりのときのイスラエルと教会、即ち、互を豊かにするために互いに膝まづくという両者の預言的関係を描きだしているのです。 物語の始まりは、ナオミ(ヘブル語で楽しいという意味)はエリメレク(私の神は王)と結婚しています。ナオミは神に嫁いでいるユダヤの民を表しています。彼らの二人の息子はマフロン(病弱)とキルオン(衰弱)という名で、当時のユダヤの国の状態を示していました。 飢饉が起こり、エリメレクと家族は故郷のベツレヘム(パンの家)を離れてイスラエルの外に出なければならなくなりました。その地でマフロンとキルオンは結婚しましたが、数年のうちに二人とも死んでしまいました。エリメレクも死に、それは楽しい民の生活の中から神の王権が滅んでしまったようなものでした。ナオミに残されたのは、異邦人の二人の嫁、オルパ(首のうしろ)とルツ(すがりつく者、友)だけでした。 イスラエルの飢饉が終わったとき、ナオミは故郷に帰る決心をします。そしてオルパとルツに、その地に残り新しい夫を見つけ新しい人生を歩むようにと強く勧めます。オルパはナオミの言葉に従って家に帰りますが、ルツはそれを拒絶します。「すがりつく者」はナオミに忠誠をつくすことを宣言します。 ルツ記1:16-17 「ルツは言った。『あなたを捨て、あなたから別れて帰るように、私にしむけないでください。あなたの行かれる所へ私も行き、あなたの住まれる所に私も住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。 あなたの死なれる所で私は死に、そこに葬られたいのです。もし死によっても私があなたから離れるようなことがあったら、主が幾重にも私を罰してくださるように。』」 ナオミの人生は辛いことばかりであり試練が厳しかったので、彼女は自分の名前をマラ(苦々しい)に変えます。それにもかかわらず、そしてここから物語には新たな預言的油注ぎがあるのですが、ルツはなおもナオミにすがりつきます。イスラエルの神を信じるこの異邦人は、ユダヤの民がどれほど苦々しく見えても、彼らを離さないのです。ルツの心を変えることはできませんでした。ルツは自分が祝福を受けるのは、この民を通してでありこの民と共に受けるのだと、何かによって悟らされたのです。 救い主の出現 ナオミはルツを故郷のベツレヘム(パンの家)に連れて帰り、そこで彼らは物質的、霊的な食物を見つけます。年を重ねていて肉体労働は無理になったナオミは、今は娘と呼ぶルツ(キリスト教会を象徴)に落穂拾いを教えます。ルツは義母を養うために畑に文字通り膝まづいて働きますが、それによって自分も養われます。そして思いがけない祝福が訪れるのです。 ナオミに対するルツの愛と献身の故に、ボアズ(力ある者)という男性が彼女に目を留めます。ナオミは喜びました。ボアズ(メシアの預言的予型)はエリメレクの親類で買い戻しの権利がありました。ボアズの登場で買戻される希望が出てきました。しかしそれは、二人の女性(ユダヤ人とクリスチャンを象徴する)が膝まづいて互いに助け合い愛し合うという関係を保つときに可能なのです。 ナオミはルツが従うべき買戻されるための慣習を一歩一歩詳しく教えます。ルツは自分の霊の母親に服従したので、ボアズの心を捕らえました。「力ある者」はすばやくルツを花嫁とする権利を宣言します。ユダヤ人たちは喜んで二人の結婚を祝します。「どうか、主が、あなたの家にはいる女を、イスラエルの家を建てたラケルとレアのふたりのようにされますように。」(ルツ記4:11) 彼らは祝福されました。ボアズとルツはオベデ(仕える者)という赤ちゃんを授かりました。幼子オベデはナオミのこころを喜ばせ満ち足らせたので、彼女はマラ(苦々しい)という名を捨てたのでした。ナオミはルツによって生き返ったのです。そしてルツはナオミによって神に愛される者として、また、神のしもべイエシュア(イエス)の直系であるイスラエルの母として、永久に称えられることになったのです。 救い主の現われ ルツがナオミにすがりついて、買い戻しの権利のある親類の恵みを受けることができたように、イスラエルにすがりつくクリスチャンは、買い戻しをしてくださる親類(主イエス)のこころを捕らえることができるのです。そしてルツの友情によってナオミの性格が苦々しいものから喜びへと変えられたように、真のクリスチャンのイスラエルとの友情が、ユダヤ人の心を変えるでしょう。私は神は至るところで「ルツのレムナント」を興しておられるのを見ています。 (終わり) 以上は著書Why care about Israel? の第二章 Blessing for Blessingからの抜粋です。著者は弁護士出身で今はミニスターとしての資格を持ち、夫と共にLight of Zionと言うメシアニック・ジュー・ミニストリーを世界的に展開しています。 トップへ戻る
by walkwithgod
| 2008-07-11 15:39
| アメリカからのメッセージ
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